ーインナーフレーム構造+ソフビ外皮構造の新しい40cmドールボディ!
ベルマタン株式会社は、2025年秋、ファン待望の新作40cmドール素体Merry Bell『YUBEL』を販売開始いたしました。
今回は、その開発経緯と今後の展開等、編集部イチ、ドールに詳しいライター香さんとラペオニア編集部「のらくろん」が、開発担当の Sさんに行ったインタビューを記事にまとめてお送りします。

Merry Bell「YUBEL」の開発経緯を教えてください
近年のドール業界においては、キャストドール以外で40cmクラスのドール素体は選択肢が少なく、ユーザーが理想のボディを選びづらい状況だと思っていました。そこで、既存製品の長所と課題を整理しつつ、新しい選択肢を提示したいと考えて開発を始めました。
前職では15年程ボディ開発やドールの企画に携わり、かなり自由に仕事してはいたのですが、とはいえ歴史ある企業ならではの苦労…製造上の制約や作業性、コスト、ブランドイメージを優先に考えると諦めざるを得ない部分も多々ありました。
幸い、今回はスタートアップとしてゼロから企画・設計できる環境に恵まれ、『YUBEL』には、『ユーザー目線に立った製品づくり』の視点、そして『自分の本当にやりたかった事』を詰め込むことができました。
開発にあたって意識したことは?
ユーザーが持つ既存のドール資産を活かせるようにしようと考えました。 製品の特性上、ヘッドやウィッグ、アウトフィット類を揃えて初めて『ドール』になる物な ので、ボディのみで完結する物ではありません。しかし、企業規模的に衣装やオプションパ ーツなどを最初から豊富に提供するのは難しいので、できるだけ既存の製品を使えるような デザイン、設計にしています。
グラつきやたわみで頼りない感じがしないように、関節は硬すぎず緩すぎず、止めたいところで止まる、など具体的に言葉にできない領域で、触って動かして『気持ち良い』と 感じてもらえるように調整をしています。
関節構造、素材など、ドールの仕様について教えてください
・関節構造
とにかく『隙間を空けない』事に注力しました。可動範囲を大きく取るには『隙間を空ける』『可動部を増やす』というのが最も効率が良く、確実です。しかし人体を模した物に、人体に本来存在しないはずの隙間や機械的構造物が露出しているのは美しくない。
YUBELのフレームは肘で150度、膝は140度程までの曲げ角で、それ以上曲げようとすると設計技術上、隙間を空けるか、構造体を現状よりも大きく露出させるかの2択を迫られました。半年以上かけて様々な構造を検討し、最終的にどちらにしても美しくない、それならいっそ一般的なポージングにあまり必要のない角度は諦めよう、と決めました。
それでもわずかに足りない部分を補うために一部関節に引き出し構造を採用していますが、 引き出した関節を自分で戻すのが煩わしい、服の中でどうなっているかわからないと常々思っていたので、自動で元の位置に戻る構造にしています(国内特許申請中)
股関節は全体としてとても力の掛かる部分で、抜けや破損が起こらないような設計を心がけました。そのため、下半身は股関節の構造を決めてから他の部分の調整をしました。結果的に、大腿部のロール構造と、その部分が不意に抜けないようなロック構造(国内特許申請中)がうまれたといえます。
・造形、素材について
造形を担当して頂いたStellaScopeさんはドールの可動を前提とした造形、ソフビの製法、 両方の知見をお持ちの珍しい原型師さんです。私の設計思想にも強く賛同して頂き、初期段 階から造形に関してはほぼ全てをお任せしています。元は100%手作業で原型を作っていた(いわゆる手原型)経験を生かし、3Dスカルプトの原 型を単純な表面処理をして仕上げるだけではなく、ソフビになった時に限りなく美しくなるよう、かなり手を加えた原型を作っていただきました。
その結果『YUBEL』の造形はデータの正確性と手仕上げならではの量感を兼ね備えた造形に なっています。その造形を生かすべく、外皮のソフビ素材は国内メーカーのオリジナル特殊配合を採用し、 わずかに透明感を感じる一見キャストドールと見間違うような質感に仕上げました。肌触り も凄く良いので、さわってみて欲しい所です。
フレーム部分はABS/POMの2種類の素材を使用した堅牢な構造を採用しました。どちらも製造は日本国内で、製造状態を常に把握できる環境で製造されています。


開発にあたり、苦労されたポイントは?
一番は可動構造です。関節構造の部分でもお話をしましたが肘膝をいかに美しく曲げるか… という点を詰めるのにとにかく時間がかかりました。データ修正や試作も数十回におよび、結果、完成予定も大幅に伸びてしまいました。次の難関はソフビ外皮とプラスチックフレームの整合性です。外皮は柔軟な形状を作れる3Dスカルプトで制作し、フレームは正確な数値が反映できるCADで製作、しかし特性が正反対であるため、データ上では合っていても現物ではなかなか合わない…という事が多発しました。そのため、3Dプリンター出力した現物を計測しデータにフィードバック、再出力して検証~という流れを数十回以上繰り返し、ソフビ外皮とフレーム間の隙間、ガタつきを解消していきました。ソフビは原型から製品に至るまでに大きく収縮し、逆にプラスチック製のフレームはほぼ収縮が無いため、製品になる状態を想定して、少し大きめにソフビ原型を作らなければなりません。この部分は外皮の原型を担当して頂いたStellaScopeさんと時間を掛けて、綿密に調整を繰り返しましたが、結果、上手く行ったときにはホッとしました。


ヘッドパーツやボディバリエーションの可能性は?
2025年の10月にベーシックな肌色のPeachカラーのボディを発売しました。ユーザーからの希望が多い白肌系のVanillaカラーは、特に材料調色がシビアなため時間がかかってしまっていますが2026年初頃には発売予定です。大きなメーカーではなく、スタートアップ企業だからこそ、限定カラーや特殊素材の採用、すこしとがった企画にもトライしていきたいと考えています。胸のサイズバリエーションや、ハンドパーツの表情違い等、既に取り掛かっている開発もありますので、今後にご期待下さい。



Peachカラー(仮称:ナチュラル)
Vanillaカラー(仮称:ホワイト)は2026年年初の発売予定


左:YUBEL素体:左から順に開発初期からの開発段階のプロトタイプたち
右:開発中ヘッドの金型:あくまでも試作段階のものであり、実際の製品の金型ではない

複数台の3Dプリンターを設置し、各種加工を行える体制を整えている
今後、展示会参加、ポップアップショップ、実物展示などを行う予定は?
直近の予定では2026年のI・DOLL にも出展予定です。できるだけ関東以外や海外のイベントにも参加して、もっと多くのみなさま方に『YUBEL』に触れて頂きたいと思っています。今はオンラインショップのみの運営ですが、昔ドールショップで働いていた経験も活かして、ゆくゆくは実店舗もやってみたいですね。
最新情報はメリーベル公式XおよびWebサイトで順次発信される予定です。楽しみにお待ちしております!!
会社情報:

製品情報:
Merry Bell『YUBEL』
会社情報:
株式会社ベルマタン
Corporate Web:
https://merrybelle-kingdom.com/
EC:https://merrybelle.booth.pm/
X:https://x.com/MerryBelle_doll
ライタープロフィール

香/こう
【ドールクラフト講座】を担当するドールと手仕事をこよなく愛するハンドメイド好き。
ドール歴は13年目。これまでにたくさんのドールや小物作りを楽しんできました。noteの方では、かぎ針編みを中心に、初心者の方でも安心して取り組めるようなドール用小物の作り方を紹介しています。
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